吹奏楽を再開したい人へ|楽器の準備とブランクの戻し方

「もう一度、あの頃みたいに楽器を吹きたい」。学生時代に吹奏楽部で過ごした人なら、ふとそう思う瞬間がありますよね。結論からお伝えすると、吹奏楽の再開はいつからでも遅くありません。何年ブランクがあっても、体は意外と覚えていますし、社会人になった今だからこそ楽しめる吹き方もあります。この記事では、再開を考えたときにまずやるべき楽器の準備から、ブランクの戻し方、続けやすい環境の見つけ方までを、初心者にも分かるように順番に解説していきます。読み終わるころには、再開への不安が「ちょっとやってみようかな」という前向きな気持ちに変わっているはずです。

10年もブランクがあるけど、今さら戻れるのかな…?

大丈夫だよ。体が覚えてるから少しずつ戻せるって。

吹奏楽の再開はいつからでも遅くない

教室で楽器を手に再開を考える女性

まず安心してほしいのが、吹奏楽の再開に「もう手遅れ」という年齢やブランクはないということです。3年でも10年でも、20年以上のブランクがあっても、もう一度楽器を手にする人はたくさんいます。実際、社会人向けの音楽教室や一般バンドには、数十年ぶりに戻ってきたという人が珍しくありません。中には子育てが一段落した50代、定年後に時間ができた60代で再開する人もいて、年齢の幅はとても広いんですよ。

なぜ戻れるかというと、楽器を吹く動作は頭で覚えているだけでなく、指や口まわりの感覚として体に残っているからです。自転車に久しぶりに乗っても、最初はふらついてもすぐに乗れるようになりますよね。あれと近い感覚です。私の知人にも、高校の卒業以来15年ぶりにトランペットを再開した人がいますが、最初の数回こそ唇が持たなかったものの、1か月もすると当時の半分くらいの感覚は戻ってきた、と話していました。完璧に元通りにする必要はなくて、今の自分のペースで楽しめれば十分なんですよね。

むしろ大人になってからの再開には、学生時代にはなかった良さもあります。曲の構造や音楽理論を落ち着いて理解できたり、自分の好きな曲を自由に選べたり。学生時代は先生に言われるまま吹いていた部分も、大人なら「なぜここはこう吹くのか」を考えながら取り組めます。感覚だけで吹いていた頃とは違う深まり方ができるのが、再開組ならではの楽しみ方だと思います。仕事や家事の合間に音楽の時間があると、気持ちの切り替えにもなって、生活そのものが豊かになったと感じる人も多いです。

「周りはみんな上手なのに、自分だけ下手だったら恥ずかしい」と心配する人もいますが、その点もあまり気にしなくて大丈夫です。再開組が集まる場では、誰もが同じように一度ブランクを経験しているので、温かく迎えてくれる雰囲気のところがほとんどです。むしろ「また始めた」という共通点で会話が弾むこともあります。下手でもいい、楽しめればいい、という気持ちで一歩を踏み出すのが、長く続けるいちばんのコツだと感じています。

再開前にまずやるべき楽器の準備

サックスのメンテナンスをしている様子

再開すると決めたら、最初にやるべきは楽器の状態チェックです。いきなり吹き始める前に、手元の楽器がちゃんと使える状態かを確かめておくと、後でつまずきにくくなりますよ。やる気が高まっているうちに環境を整えておくと、勢いを保ったまま練習に入れます。

長く眠っていた楽器は点検・メンテナンスから

押し入れやクローゼットに何年もしまっていた楽器は、見た目がきれいでも内部のコンディションが落ちていることが多いです。管楽器ならタンポ(音孔をふさぐパーツ)が硬くなっていたり、コルクが縮んでいたり、サビが出ていたりします。金管楽器ならピストンの動きが鈍くなっていたり、抜き差し管が固着して動かなくなっていることもあります。この状態で無理に吹くと、音が出ない原因が自分の腕なのか楽器なのか分からなくなって、せっかくのやる気がそがれてしまうんですよね。

そこでおすすめなのが、再開前に一度プロの点検(オーバーホールや調整)に出すことです。楽器店の修理窓口に持っていけば、現状を見て必要な調整を提案してくれます。費用は内容によって変わりますが、これをやっておくと「楽器のせいで吹けない」というストレスがなくなり、純粋に練習に集中できます。長期間しまっていた楽器ほど、自己判断で吹き始めず、まず見てもらうほうが安心です。固着した管を無理に動かして傷めてしまう、という失敗もよくあるからです。

たとえば、私の知人がしまい込んでいたクラリネットを久しぶりに出したときは、タンポが何枚も劣化していて、点検に出すまで上の音がまったく出なかったそうです。本人は「腕が落ちたせいだ」と思い込んでいたのですが、調整してもらったら驚くほどあっさり音が出るようになったとのこと。こういう例は本当に多いので、原因を自分の腕だけに求めず、まず楽器の状態を疑ってみてくださいね。なお、点検に出すと数日から数週間預けることになる場合もあるので、再開を思い立ったら早めに動いておくとスムーズです。

ポイント

再開直後にうまく吹けない原因は、腕前よりも楽器のコンディションにあることが多いです。まずは点検で「吹ける状態」を整えてから練習を始めると、上達の実感が得やすくなります。

楽器を手放してしまった人はどうする?

「卒業のときに楽器を学校へ返した」「実家を出るときに処分してしまった」という人も多いと思います。学生時代の楽器は学校の備品だった、というケースも珍しくありませんよね。そういう場合は、新しく用意する方法を考えることになります。選択肢としては、購入する、中古を探す、レンタルを利用する、といった方法があります。それぞれにメリットがあるので、自分の状況に合わせて選ぶのがよいでしょう。

続くかどうか分からない再開のタイミングで、いきなり高価な楽器を買うのは少しハードルが高いものです。管楽器は安いものでも数万円、本格的なものになると数十万円することもありますからね。まずは気軽に試したいという人にとっては、レンタルという選択肢も一つの方法です。月単位で借りられるサービスなら、「まず吹いてみて、続けられそうなら購入を検討する」という進め方ができるので、再開の最初の一歩としては相性が良いと感じる人も多いですよ。実際に吹いてみると、自分が本当に続けたいのかどうかも見えてきます。

ブランク明けの練習法とコツ

ブランク明けに練習を始めた演奏者

楽器の準備が整ったら、いよいよ練習です。ここで大事なのは、いきなり昔吹けていた曲に挑戦しないこと。久しぶりだからと張り切って曲を吹こうとすると、思うように音が出ずに落ち込んでしまいがちなんです。「あんなに吹けたのに」とがっかりして、そのままやめてしまう人もいます。遠回りに見えても、基礎から丁寧に戻していくほうが結果的に早く感覚が戻りますよ。最初の1か月は「リハビリ期間」くらいの気持ちでいると、焦らずに済みます。

久しぶりだと何から練習すればいいんだろう?

まずはロングトーンから始めるのがおすすめみたいだよ。

ロングトーンと基礎練習で感覚を取り戻す

再開直後の練習でいちばんおすすめなのが、ロングトーンです。一定の音をまっすぐ長く伸ばすこの練習は、地味に見えますが、息の使い方やアンブシュア(口の形)を取り戻すのにとても効果的なんですよね。最初は数秒しか音が続かなくても大丈夫です。学生時代は当たり前にできていたことも、ブランクがあれば衰えていて当然なので、気にしすぎないでください。毎日少しずつやっていくと、自然と息が長く続くようになっていきます。

ロングトーンに慣れてきたら、スケール(音階)練習も加えてみてください。指の動きと運指の記憶を呼び戻すのに役立ちます。たとえば最初の1週間はロングトーン中心、2週目からスケールを少しずつ、というように段階を踏むと、無理なく体が思い出していきます。音が安定してきたら、ゆっくりしたテンポの簡単な曲に進むと、楽しさを感じながら続けられますよ。いきなり難しい曲ではなく、童謡や昔やった易しい教本から入るのがコツです。

もう一つ覚えておきたいのが、再開直後は口の筋肉(アンブシュア)がすぐ疲れるということです。学生時代は何時間でも吹けたのに、今は10分で唇がプルプルしてくる、ということも珍しくありません。これは自然なことなので、疲れたら休む、無理をしないのが大切です。唇を痛めてしまうと逆に練習できなくなってしまいますからね。短い時間を区切って、休憩をはさみながら吹くようにすると、少しずつ持続力も戻っていきます。

短時間でも毎日続けることが上達の近道

社会人になると、まとまった練習時間を取るのは難しいですよね。でも、再開期にいちばん効くのは、1回の長さよりも続ける頻度です。週に1度2時間まとめてやるより、1日15分でも毎日触れるほうが、唇や指の感覚は早く戻ります。筋肉が動きを覚えるには、間隔を空けずに繰り返すことが大切だからです。

たとえば朝の出勤前に10分だけロングトーン、夜に5分だけスケール、というくらいで十分です。完璧にやろうとせず、「今日はマウスピースだけ吹いた」という日があってもいいんです。大事なのは習慣として生活に組み込むこと。続けることそのものが、いちばんの上達法だと考えてみてください。なお、自宅で音が出しにくい場合は、近所の音楽スタジオやカラオケボックスを練習場所にする人もいます。環境に合わせて続け方を工夫してみてくださいね。

再び演奏を楽しめる場所の見つけ方

仲間と一緒に楽器を演奏する様子

一人で練習するのも楽しいですが、吹奏楽の醍醐味はやっぱり合奏ですよね。みんなで音を合わせたときのあの一体感は、一人では味わえないものです。再開の楽しさを長続きさせるには、演奏を楽しめる場所を見つけるのも大切です。

社会人が参加しやすいのは、一般の吹奏楽団や市民バンドです。地域には「ブランクOK」「初心者歓迎」をうたう楽団が意外と多く、週末や平日夜に活動しているところもあります。いきなり入団するのが不安なら、見学や体験参加から始められる団体を選ぶと安心ですよ。最近はSNSや地域の掲示板で募集を出している楽団も増えていて、自分の住むエリアの団体を探しやすくなっています。雰囲気が自分に合うかどうかは、実際に足を運んでみるのがいちばん分かります。

「人前で吹くのはまだ自信がない」という人は、個人レッスンから入るのも一つの方法です。音楽教室の体験レッスンを利用すれば、プロの講師に今の状態を見てもらいながら、自分のペースで感覚を取り戻せます。変な癖がついていたら直してもらえるのも、レッスンの良いところですね。合奏に参加するか、まずは個人で楽しむか、どちらが正解というわけではないので、自分が続けやすい形を選んでください。慣れてきたら個人練習から合奏へ、とステップアップしていくのもおすすめです。

場所選びでもう一つ意識したいのが、無理なく通える範囲かどうかです。どんなに魅力的な楽団でも、片道2時間かかる場所だと続けるのがつらくなってしまいます。自宅や職場から通いやすい場所を選ぶと、練習やリハーサルに参加するハードルがぐっと下がります。活動の頻度も団体によってさまざまなので、自分の生活リズムに合うペースの場所を選ぶと、長く楽しく続けられますよ。

再開でかかる費用の目安

再開を考えるとき、気になるのがお金の話ですよね。何にどのくらいかかるのか、ざっくり把握しておくと計画が立てやすくなります。下の表は、再開時にかかりやすい費用の一例です。楽器の種類や状態によって変わるので、あくまで目安として見てください。

項目内容の目安
楽器の点検・調整手持ちの楽器を再び使える状態に整える費用
消耗品リードやコルクグリス、クロスなどの細かな用品
楽器の用意購入・中古・レンタルなど方法で大きく変わる
練習環境個人練習スタジオやレッスン、楽団の参加費など

このうち、楽器の用意は方法によって金額の差がいちばん大きい部分です。購入すれば長く使えますが初期費用は大きくなりますし、続くか分からない段階ならレンタルで初期負担を抑えるという考え方もあります。消耗品は地味ですが意外と必要で、リードは消耗品なので定期的に買い足すことになります。まずは最低限のものからそろえて、続けられそうだと感じたら少しずつ充実させていく、という進め方が無理がありません。自分の再開スタイルに合わせて選ぶのが良いですね。

まとめ|まずは一歩を踏み出してみよう

吹奏楽の再開は、何年ブランクがあっても遅すぎることはありません。大切なのは、楽器の状態を整えて、基礎からゆっくり感覚を戻し、自分が続けやすい環境を見つけること。完璧を目指さず、もう一度音を出す楽しさを味わうところから始めてみてくださいね。最初の一歩さえ踏み出せば、あとは少しずつ昔の感覚が戻ってきます。

もし「楽器を手放してしまった」「いきなり買うのは迷う」という場合は、楽器バンク「がっきレンタ」のレンタルを再開の第一歩として活用するのも一つの方法です。まずは気軽に吹いてみて、続けられそうなら購入を考える、という進め方ができます。気になる楽器がある方は、下のボタンから一覧をのぞいてみてください。状態や種類で迷ったときは、相談してみると自分に合った選び方が見えてきますよ。

よくある質問

ブランクが20年あっても再開できますか?

はい、20年以上のブランクから再開している人はたくさんいます。最初は思うように音が出なくても、ロングトーンなどの基礎から始めれば少しずつ感覚は戻ります。焦らず続けることが大切です。

楽器を持っていなくても始められますか?

始められます。購入・中古・レンタルなど方法はいくつかあります。続くか分からない段階なら、まずレンタルで試してみるのも選択肢の一つです。状態によって選び方が変わるので、迷ったら相談してみると安心です。

どのくらい練習すれば感覚が戻りますか?

個人差はありますが、1日15分でも毎日続けると数週間で息や指の感覚が戻り始める人が多いです。回数を重ねる頻度のほうが、1回の長さより効果的だと考えてみてください。

独学とレッスン、どちらがいいですか?

どちらでも再開はできますが、変な癖を直したい人や効率よく戻したい人はレッスンが向いています。まずは独学で感覚を取り戻し、必要を感じたらレッスンを取り入れる、という形も無理がありません。自分の目的に合わせて選んでみてください。